「継続したい」80% 三菱地所も実施の昼寝の効果とは

企業が取り入れる昼寝制度 おすすめコラム
「昼寝の達人」になる!就業中の昼寝の効果と注意点 企業に必要な心構え

仕事や勉強に取り組んでいると、疲れがたまり、やる気や気力、集中力が落ちてきます。法律として休憩は定められており、労働基準法第34条で、労働時間が6時間を超え、8時間以下の場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は、少なくとも1時間の休憩を与えなければならない、と定めています。(引用:厚生労働省 労働時間・休憩・休日関係)そのため、いかなる企業でも法律の定める範囲においては休憩をとることが必須です。しかし、休憩は法律で定められているから必要、という理由だけではなく、脳がリフレッシュされたり、体力が回復することで生産性もあがるため、従業員や企業にとっても休憩は大切な時間です。そして、休憩の中でも短時間で効率的にリフレッシュする方法の1つに”昼寝”があります。本記事では、企業で昼寝を取り入れる際の方法や効果、注意点について解説し、明日から企業で使える”昼寝の達人”になるためのヒントをご紹介します。

企業で取り入れる昼寝制度

企業で昼寝を取り入れる方法はいくつかあります。その中でも近年制度として導入が増えている制度を説明します。

パワーナップ制度

近年取り入れられている、昼寝制度の一つ「パワーナップ制度」をご存じでしょうか。パワーナップ制度とは、生産性向上を目的に、業務中に短時間の昼寝を取り入れる制度です。昼寝時間や時間帯、方法は企業により様々ですが、昼食後の血糖値が下がり眠くなる正午付近から午後3時くらいまでを目安に15分~30分程度昼寝をする制度です。このパワーナップは、アメリカの心理学者により提唱され、うたたねや短時間の睡眠を指す言葉の「nap」と「power up」の造語で、後述する長時間休憩を指すシエスタ制度とは異なります。海外ではナイキ、Google、NASAやアメリカ軍などですでに導入されています。日本でも、厚生労働省が公表している「健康づくりのための睡眠指針2014」の第8条において、「午後の早い時刻に30分以内の短い昼寝をすることが、眠気による作業能率の改善に効果的」と言及しています。(出典:厚生労働省ホームページ 健康づくりのための睡眠指針2014

また日本では三菱地所株式会社がスリープテック事業を展開する株式会社ニューロスペースと共同で1カ月の検証実験を実施し、眠気の軽減効果が確認され、また、実験に参加した従業員へのアンケート結果では、仮眠を継続したいという従業員が80%超と、仮眠効果の実感と継続の意向が確認されており、効果がでていることがわかります。

(参照元:三菱地所との「仮眠室を活用した仮眠効果検証実験」結果報告 仮眠を活用することで日中の集中力向上と眠気低減を計測データで確認)

シエスタ制度

シエスタ制度とは、スペインなどラテン諸国に根付いているシエスタの習慣が由来となっています。シエスタはラテン語では「日の出から6時間後」の意味で、昼食後の13時~16時前後に自由時間として休憩をとる文化です。シエスタ制度では、昼休憩に社員がリフレッシュできるよう、休憩時間を長く設定する制度になります。前述のパワーナップ制度とは休憩をとる時間が異なります。通常の昼休憩は45分~60分程度ですが、シエスタ制度では2~3時間に延長され、十分な時間を確保して昼寝ができるようになっており、社員の仕事の効率や生産性を向上させることが期待されています。しかしその分、就業時間が後ろ倒しになったり、適切な睡眠がとれずシエスタ制度の効果が発揮されないケースや、寝すぎて頭が回らなくなるど注意や自己管理が必要です。

昼寝のメリット

昼寝のメリット

休憩時間は企業や個人の労働環境により異なりますが、特に近年導入が多くなっているおすすめの方法が”昼寝”です。昼寝はたまった疲れを癒すだけでなく、集中力がアップすることでモチベーションやパフォーマンスの発揮につながります。

疲れを取り、集中力がアップする

仕事や勉強で疲れた脳を休めることで、疲れが軽減され、集中力がアップします。眠気を抱えたまま数時間働くより、30分昼寝をとり短い時間で働いた方効率や生産性も高まる可能性があります。また、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠指針2014」においても短時間の昼寝は効果的であると述べています。(出典:厚生労働省ホームページ 健康づくりのための睡眠指針2014

企業のイメージ向上

昼寝制度はまだ日本ではここ数年で浸透し始めたばかりで、その取り組み事例も少ないのが現状です。昼寝制度に取り組むことで労働法順守企業のイメージ定着や従業員の健康への取り組みなど外部からのイメージ向上につながる可能性があります。

ストレス解消につながる

仕事や勉強にストレスを感じることが多い人にとって、昼寝はストレス解消につながります。眠りによって脳がリセットされ、ストレスを軽減する効果があります。

心身ともにリフレッシュできる

昼寝をすることで、心身ともにリフレッシュすることができます。眠りによって脳が活性化され、創造性やアイデアの浮かびやすさが向上することがあります。また、昼寝をすることで、体力が回復し、夜の睡眠の質も向上すると言われています。

フレックスタイム、リモートワーク、フリーアドレスなど働き方改革の促進

昼寝制度の導入に伴い、従業員の働き方の多様化への促進にもつながります。昼寝をとる時間を従業員ごと柔軟にとられるようにフレックスタイムを設けたり、昼寝は信頼関係の元で成り立つため、リモートワークを促進することで従業員への信頼を形で表すこともできます。また、フリーアドレス化したことで、従業員は柔軟なタイムマネジメントが可能になり、昼休憩なども各自が適宜時間をずらして取ることができるようになります。

昼寝の注意点

昼寝の注意点

しかし、昼寝にはいくつかの注意点があります。寝すぎてしまうと逆効果であったりするため、以下の注意点を参考にし、導入を検討してみることがよいでしょう。

適度に睡眠をとる

昼寝時間は15〜30分程度が効果的です。適切に睡眠がとれない場合、例えば、長時間寝てしまったり、深い睡眠に入ると逆に疲れが増し逆効果になることもあるので、時間を守りましょう。また、寝すぎることで体内時計もずれてしまう可能性があるので注意が必要です。

就業時間が後ろ倒しになる

シエスタ制度の昼寝は、就業時間外となるため、就業時間が後ろ倒しになります。退勤時間も併せて後ろ倒しになる為、ワークライフバランスが崩れないようにする必要があります。

環境を整える

昼寝の場所は、静かで暗く、涼しい場所が好ましいです。イヤホンやアイマスクなど、必要なアイテムを準備しておくと、より快適に昼寝をすることができます。また社内に休憩所だけでなく、仮眠室を設けるなどもおすすめです。

適切な場所で行う

自宅や職場の休憩室や仮眠室など、適切な場所で昼寝をすることが大切です。また仕事中の社員の横で寝てしまうなど、周りの人にも配慮して場所を考え昼寝をしましょう。

睡眠に対しての意識や雰囲気を考える

一番重要だと考えられるのは、会社の雰囲気や意識です。つまり、昼寝を導入する際の社内の雰囲気、昼寝を理解する意識や上司と部下の信頼関係です。以前の職場では取り入れていなかったり、仕事中に寝ることに対して不満を持っている方や、仕事の都合上、昼寝をとりやすい部署や従業員、逆にとりにくい従業員がいる場合、事前にどのように昼寝をとる方法が良いか社内で決める必要があります。また自身や自身の部署は取れない部署だなどとほかの部署や人からレッテルが貼られないよう注意が必要です。そのためには、労働環境や仕事のタスクの見直しも必要です。

昼寝時間も休憩後のための支度の一つです。寝すぎてしまい、残業が増えてしまった、商談や会議に遅刻した、など他の従業員に迷惑が掛からないよう、一社会人として節度を守って意識して昼寝や休憩をとりましょう。また従業員がお互い昼寝をとりやすい環境や意識を作ることが大切です

企業で昼寝制度を適切に導入にするための心構え

企業の心構え

先述したとおり、昼寝は適切にとることがとても重要です。では企業はどのように昼寝制度を取り入れればよいのでしょうか。企業が昼寝制度を導入するために必要な心構えや事前準備を紹介します。

適切なマネジメント管理

リモートワークやフリーアドレスにより、部下が離れている場所で仕事をする機会が増えたため、管理職のマネジメント手法も変化せざるを得なくなってきています。大事なのは、見えないからといって、「さぼっている」という意識を持たないようにすることです。もちろん、部下も見えていないからと言ってさぼるのは評価だけでなく関係性悪化や導入した意義につながりますので、お互いの信頼の元で成り立つことを理解しましょう。

昼寝への理解・環境の醸成

パワーナップ制度やシエスタ制度を取り入れた際、「昼寝をとる」ことにいちいちと口を出さないようにすることが適切なマネジメント管理になります。このような昼寝制度を導入する場合、職場の意識変革が重要であること、つまり昼寝に対しての管理職など上層部の意識改革が必要です。昼寝制度の使い勝手が悪くなるのは、職場の雰囲気が大きく関わっている可能性があり、昼寝制度を導入しても昼寝ができない雰囲気を避けることが重要です。昼寝制度があるのに昼寝ができない、となれば本末転倒です。

人事やプロジェクトグループからの発信

昼寝をとるにあたり、上記にあげたように社内の意識改革はとても重要です。しかし、いきなり意識が変わることはなかなか難しいといえます。意識改革を行うには、人事やプロジェクトグループからの発信がとても重要です。また日ごろから役員などが率先して昼寝制度を利用する、昼寝の目的や求める効果を根付くまで定期的に発信を続けると、より社内の意識向上に期待ができます。

昼寝の成果を定量的・定性的に行う

昼寝制度を導入した後は、目的を明確にして効果測定を行うことが重要です。導入前後で定量的/定性的にアンケートなどを行うことで、昼寝を行った従業員だけでなく、ほかの従業員にもよい影響が見込めます。事前にアンケート項目を策定し、検証を行うことがおすすめです。一例ですが、昼寝により成果がでたり改善ができた場合は、給与に反映する仕組みや表彰制度を設けるなども取り組みやすい方法といえます。

業務を補填し合える環境や昼寝制度への参加意識を

従業員が昼寝が取れる環境でも、取りにくい従業員がいたり、業務内容的に取りづらいと思う方もいるはずです。そのような場合は、昼寝に対して参加型のプロジェクトを発足させるのも一つの策といえます。チーム体制を作り、業務を補填し合える環境を整えたり、チームでの睡眠改善を比較したり、睡眠改善で取り組んだことを社内に共有する機会を設けるなど自己意識を持たせることで従業員がとりやすい環境を作ることもできるはずです。

他社事例はあくまで参考、自社に合う方法を考える

他社の事例が自社に合うとは限りません。睡眠時間は人それぞれですが、企業の経営方針、規模、業種も様々です。他社の取り組みを自社に反映しても必ず同じ結果となるとは限らないので、自社に合う最適な昼寝方法や休憩方法を考えながら従業員の睡眠改善が必要です。

これらの点を考慮して、昼寝制度を導入することで、社員の健康や生産性向上、働き方の改善などにつながる可能性が高くなります。

昼寝の達人になるためのヒント

睡眠環境を整える

昼寝制度を導入できたからとといって、すぐに睡眠改善がだれでもできるわけではありません。限られた休憩の時間の中で、明日からでも実践できる”昼寝の達人”になるためのヒントをご紹介します。

睡眠環境を整える

昼寝を行う際は、夜の睡眠の質を高めることで、昼寝の効果も高まります。夜の睡眠環境として寝具や枕、就寝環境が適切か今一度見直しましょう。

視覚、嗅覚、聴覚、触覚に意識を

視覚、嗅覚、聴覚、触覚は良質な睡眠をとるうえ大きな要因となります。仮眠室などの部屋で暗くし、イヤホンなどで音を遮り、アロマの香りやストレスのないの香りの環境の元で、体に負荷が少ない体勢や家具を選び、短時間で良質な睡眠をとることがおすすめです。

コーヒーは昼寝をする直前に飲む

昼寝を取り入れる際はカフェインは昼寝の直前に飲むと効果的です。実は、カフェインが体内に吸収されるのは摂取から約30分後のため、昼寝の前にコーヒーを飲むと、昼寝から覚めた時にすっきりして仕事に取り組むこともできるようになります。

プライベートと仕事の線引きをする

近年は働き方も多様化し、リモートワークなどでプライベートとの境界線があいまいになっている場合もあります。リモートワークは時間節約や勤務時間の柔軟性など従業員にとって働きやすい一面もありますが、反面、リモートワークは企業から従業員の働き方が見えにくい性質もあります。仕事中は業務の一環として昼寝や休憩を意識しつつ、メリハリをつけた休憩や昼寝を取り入れることも大切です。

定期的に休憩を取る

長時間の仕事や勉強をする場合は、定期的に休憩を取るようにしましょう。疲れがたまらないうちに、小休憩を取ったり、超短時間の昼寝として1分で昼寝を行う「マイクロナップ」をしたりすることで、目の疲れをとったり、脳の疲労を回復し、集中力をキープできます。※メイクロナップは1分間目を閉じて睡眠に近い状態にすること

昼寝は計画的に行う

昼寝は計画的に行うことが大切です。仕事や勉強のスケジュールに合わせて、昼寝の時間を設定しましょう。また、昼寝をした後に、すぐに仕事や勉強を再開すると、昼寝の効果が半減してしまいます。昼寝後は、しっかりと身体を動かしたり、気分転換をすることで、効果をキープしましょう。

また、昼寝以外にも、リラックスできる方法を見つけておくと、休憩の効果が高まります。ヨガや瞑想にひたる、音楽を聴く、ストレッチや散歩をしたりすることで、リフレッシュすることができます。日ごろから自分が一番休憩できる方法を模索しておくと、短い時間でも十分な休憩を得られる可能性が高まります。

まとめ

仕事や勉強に取り組む際には、定期的な休憩が大切です。その中でも、昼寝は短時間でリフレッシュすることができ、集中力をアップさせることができます。あわせて、パワーナップ制度やシエスタ制もご紹介しました。ただし、必ず時間や環境に注意して、計画的に昼寝制度や休憩制度を導入することが大切です。昼寝以外にも、リラックスできる方法を見つけておくことで、休憩の効果が高まります。昼寝だけでなく、”休憩の達人”になって、仕事や勉強を効率的に行いましょう。

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