残業と睡眠のバランスが重要 働き方改革と睡眠革命!

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睡眠と残業はバランスが重要

「残業」と「睡眠」は、現代社会において深刻な問題となっています。タスクや業務内容により、残業をせざるを得ず、その影響で睡眠不足に陥ってしまうことも少なくありません。重要なのは、企業も従業員も残業と睡眠のバランスを保つこと。適切な残業と睡眠のバランスがとれることで、従業員の生産性と健康に直結します。そして、適切な残業は成果の最大化につながり、質の高い睡眠は集中力や創造力の向上に繋がります。しかし、過度な残業や睡眠不足はストレスや健康問題を引き起こす可能性があるため、タイムマネジメントやタスクの優先順位設定、睡眠環境の見直しが必要です。企業と従業員が、バランスを取りながら仕事の成果を最大化し、充実した生活を送るためにも、互いに適切な対策をとることで、仕事と健康を両立することにつながります。

残業に陥る定性的な理由

残業に陥る定性的な理由

残業と睡眠は、私たちの生活と仕事において重要な役割を果たしており、そのバランスは、私たちの生産性や健康に直接的な影響を与える要素です。適切な残業と質の高い睡眠を適切に組み合わせることで、私たちは最大限の成果を生み出すことができます。では、企業と従業員は残業と睡眠にどのように向き合えばよいでしょうか。

まず、残業について言えば、企業全体で、ノー残業デーなどの仕組み作りをしている企業も増えてきており、残業削減のため翻弄している企業も多いのではないでしょうか。しかし、顧客からの不規則な対応が必要だったり、人員が不足している、繁忙期がある、予定外の業務がでてくるなど、従業員の意志とは関係なく残業に陥るケースも多いようです。そのため、残業削減にどう取り組むかを考える必要があります。

※引用:厚生労働省 平成28年版過労死等防止対策白書 第1章第2節

そんな残業ですが、メリットもあります。残業は、勤務時間の時間的な制約を超えて仕事を行えるため、生産性の向上と成果の最大化につながります。しかし、残業が多く慢性化してしまうとブラック企業と呼ばれたり、会社のイメージダウンや従業員自体の健康に大きな影響が出る可能性が高まります。ここでは、残業に陥いる定性的な理由と企業の対応方法について考えていきます。

ケース①残業が当たり前の感覚

従業員が当たり前のように残業をしているケースです。例えば、残業をしている従業員Aと、同じまたは同等の仕事内容を行う別の従業員Bがいたとします。いつもAが残業している場合、Bを含めた他の人からすると、「いつもAが残業している」「同じタスクなのにAは残業している」「Aは生産性が低いのでは」とレッテルが貼られてしまう可能性があります。また、本人への評価やイメージも低下し、生活残業と呼ばれる「残業代稼ぎ」のイメージになりかねません。

この場合、スキル不足かどうか、今必要な残業なのか、優先順位は高いか、タイムマネジメントができているのか、給料が発生している認識を持たせるなど従業員自らの意識への変革が必要です。このようなケースの従業員が多い場合は、研修を行うなど意識改善を行うとよいでしょう。

ケース②残業に対して指摘をされない環境

2つ目のケースとして、指摘をされない環境下でいる場合です。他の人が指摘をしない環境下では、タスクを通常勤務の時間内にこなすということへの意識が低下し、ダラダラとタスクをこなし気づいたら”残業が当たり前”になっている従業員がでてくる可能性があります。

このような場合は、事実を客観的に指摘できる環境を整えること、また指摘する際も感情的ではなく、理論立てて理由を説明するようにしましょう。感情的になってしまうと従業員のモチベーションも下がり、翌日以降の業務にも支障がでる可能性があります。感情的な人がいる場合、それを見ているほかの従業員の士気や企業全体の生産性も下がるので注意が必要です。また、残業している人は仕事をしている”つもり”になってしまう可能性もありますが、残業をすべて悪とはとらえず、必要な残業を行えるよう指導していくことも大切です。

ケース③業務量の見える化ができていない

3つ目に、従業員の業務量が見えていない場合です。他の部署や部下が別の仕事をしている場合、業務量が見えていないことも考えられます。業務量が見えていないのに、頭ごなしに指摘してしまった場合、本人の意識も低下し、ストレスを抱え関係性も悪化する可能性があります。

そのよう場合は、まず、業務が適切な量か、一時的なものなのかもしくは継続的に発生するものなのか、ほかの人は手伝えるか、自動化できるかなどを確認をしましょう。目的は従業員の負担を減らし企業の生産性を高めることです。業務を終わらせることは一時的な手段であり、手段が目的とならないように、勤務時間内に終わるようにほかの人にも仕事を分配して残業を必要最低限にするなど業務をルーティン化や自動化したりして仕組化を行いましょう。

また、残業への指摘には指摘する側の注意も必要です。指摘する側は感情的にならず、事実だけを確認し、理想と現実のギャップを確認しましょう。一番良いのは残業せずすべてが完了していることですが、できない場合は理想の残業の体制につなげるために何ができるのか企業として考え働きかけることが重要です。またレッテルや印象が先行してしまわないよう、先入観をなくして従業員をみることも大切です。フラットにコミュニケーションをとることで、見えていないことや従業員がなぜ残業しているのかも把握できる可能性が高まります。

適切な残業をとるには”優先度の高い残業と低い残業”

優先度を決めよう

残業にも優先度が高い残業と低い残業があるといえます。残業をすることで、翌日に延ばせない仕事も終えることができたり、追加タスクへの対応できたりなど大きな影響を与えてくれます。つまり、残業は、時間的な制約を超えて仕事を行うことで生産性を向上させることを可能にしてくれます。

優先度が高い残業として、例えば、プロジェクトの締切が迫っている場合や、クライアントから緊急度が高い場合やクレーム対応、日報など勤怠を切るうえで必要最低限の報告などです。このような場合、対応しないと企業のイメージ悪化や契約解除など企業に大きな影響が出るケースも考えられます。また、日報など業務上必要な場合も、仕事を行う上で、マネジメントの観点からも優先度が高いと考えらえれます。

反対に優先度の低い残業は、本日やらなくてもよい残業です。つまり、翌日以降の業務に支障が出ない残業はかえってストレスをためてしまったり、疲労が蓄積したり、社内でのレッテルが貼られてしまう原因の一つになります。理由がない限り、優先度の低い残業は業務の観点だけでなく健康の観点からも行わないようにすることがおすすめです。

残業削減による生産性の向上

厚生労働省 我が国における時間外労働の現状 ①年間総実労働時間

残業を全くなくすという考えよりは、いかに必要最低限にするかが重要です。そのため、実際に残業削減の取り組みは様々な企業で行われています。例えばノー残業デーがあります。他には、残業にペナルティを科す、残業削減できたら給与に還元する、フレックス制度のように出社や退社時間を好きにする、事前申告制にする、上長による残業の判断、業務をローテーションする、など施策はたくさんあります。

実際に厚生労働省によると、「残業削減の取組の結果、所定外労働時間が短縮した企業(全体の53.5%)の方が、労働生産性が同業他社に比べて高いと回答する割合がやや高い」結果になっています。(引用:厚生労働省 我が国における時間外労働の現状 ①年間総実労働時間

睡眠の重要性

睡眠の重要性

一方、睡眠はなぜ企業に重要なのか。すでに生産性が落ちることや健康への被害が示唆されています。ペンシルベニア大学とワシントン大学にて、次のような実験が行われました。睡眠時間を4時間、6時間、8時間の3つのグループに分け、14日間連続して同じ睡眠時間を維持し、起きているときの身体的、及び精神的なパフォーマンスをモニタリングしました。この実験からは、慢性的に1晩あたりの睡眠時間を6時間以下に制限すると、2日間睡眠をとっていない状態に相当する認知機能の低下が生じるという結果が得られたとのことです。また、アメリカのランド研究所によると、睡眠不足で日本のGDPは2.9%損なわれている可能性があり、最大で15兆円ともいわれています。(引用および参照元:東京桜十字会 睡眠と仕事の生産性の関係は?産業医を活用した対策

睡眠不足になると判断力や認知機能の低下、疲労の蓄積や免疫機能が低下します。さらに、昼間の眠気による作業効率の低下、注意力散漫などにつながり、常態化すると不安状態やうつ状態を招くこともあります。また睡眠不足が続くと、精神的に感情的になったり、些細なことで怒ったりいらだったりなど一人の睡眠不足が周囲へ悪い影響を及ぼす可能性があります。自身の健康を害するだけでなく、職場の雰囲気の悪化など周りへの悪影響、ほかの従業員による仕事の補填、さらには、精神疾患で仕事を休職や退職となれば、本末転倒です。このように、仕事の対価で得られる代償としてはとても大きな悪影響といえます。

残業の健康的リスク

残業が続くと、必然的に睡眠時間が削られ、身体に害を及ぼすことが医学的にも証明されています。例えば、睡眠時間と死亡率の関連についても因果関係が報告されており、アメリカや日本の大学が別の調査でそれぞれ6年と10年行った追跡調査によると、7時間(6.5時間以上7.5時間未満)睡眠が一番死亡率が低い結果となっています。

残業で睡眠時間が不足すると睡眠障害になりやすくなり、ストレスも大きくなり、ますます眠れなくなり、パフォーマンスが落ち、取り戻すためにまた残業という悪循環になります。 早めに悪循環を断ち切るためにも、まずは睡眠改善策を企業としても取り組むことが必要です。

「衛生委員会.com 長時間労働の健康影響 について」より転載

通常、社会人は24時間というサイクルの中で、仕事・睡眠・生活時間の大きく3つに分けられます。特に仕事は、労働時間が短縮されることは少なく、むしろ残業など長くなる傾向になります。睡眠は所定の時間により前後するとはいえ、基本的には決まった時間に従事する人が多いでしょう。残業した場合、削られるのは生活時間か睡眠時間です。また8時間労働といっても、実際準備や通勤時間、昼休みなど多くの時間が仕事に関わっているといえます。昼休みといっても、食べながら仕事をしている人、業務連絡、クライアントへの訪問など完全にプライベートになる人は珍しいのではないでしょうか。そのため、実際労働は8時間でも通勤や休憩時間などを入れると11時間は会社のためになにかしら動いているともいえます。データはありませんが、このようなことから多くの人は、睡眠時間を削る選択肢を選んでいるのではないかと考えられます。

厚生労働省によると、「1日の労働時間が8時間を超えて、時間外労働を2時間程度、4時間程度及び5時間程度行っているとすると、これが1ヶ月継続した状態では、それぞれ睡眠時間は平均して7.5時間、6.0時間及び5.0時間となります。この場合、1ヶ月間の時間外労働時間数は、1日の労働時間に平均勤務日数(休日労働日は含まない。)21.7日を乗じて、概ね45時間、80時間及び100時間となります」(引用:厚生労働省 労働者の自殺予防マニュアル作成検討委員会委

また、過労死の認定基準3)では、「発症前1ヶ月間に概ね100時間又は発症前2ヶ月間ないし6ヶ月間にわたって、1ヶ月当たり概ね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できる」(引用:厚生労働省 労働者の自殺予防マニュアル作成検討委員会委)と睡眠不足と残業の関連性も高いことがわかります。

さらに「4時間睡眠を1週間にわたり続けると健常者においてもコルチゾール分泌過剰状態がもたらされるという実験結果もある。これらを総合すると、4~5時間睡眠が1週間以上続き、かつ自覚的な睡眠不足感が明らかな場合は精神疾患発症、特にうつ病発症の準備状態が形成されると考えることが可能と思われる」と報告しています。睡眠時間から精神疾患発症の予防は、まさに4~5時間睡眠を境に検討すべきであり、時間外労働月100時間以上の労働に従事した労働者に精神医学的配慮が必要と判断できます。(引用:厚生労働省 労働者の自殺予防マニュアル作成検討委員会委)としており、精神疾患との関連性も高くなる傾向にあるため、このような従業員が多い企業は早期に取り組むべき課題と言えます。

慢性化した残業は、疲労の蓄積、高血圧、動脈硬化、脳卒中・心臓病、やがて過労死につながります。他にも、睡眠不足が引き起こす健康被害として、以下のようなものがあります。

・脳機能障害、脳血管性疾患
・循環機能の低下、冠動脈性心疾患
・糖尿病
・脂質代謝異常
・肥満
「衛生委員会.com 長時間労働の健康影響 について」より引用

そのため、睡眠は心身ともに健康であるための重要な要素といえます。

睡眠障害による事例

「衛生委員会.com 長時間労働の健康影響 について」より転載

また残業により睡眠障害になった場合、本人の健康被害はもちろん、会社にも大きな影響を与えます。上記は心筋梗塞になった会社員の一例です。働き盛りな従業員は特に仕事に力を入れすぎてしまいがちですが、かえって仕事に大きな穴や損失を与えてしまう可能性もあります。働くことはとても重要ですが、残業を減らし睡眠をしっかりととることで企業のパフォーマンス最大化につながります。会社に貢献することだけが目的になり、体調を崩して仕事ができなくなってからでは遅いため、健康にも配慮することが企業にも求められます。

残業と睡眠のバランスは、私たちの生産性と健康にとって大きく関わってきます。効果的な残業と質の高い睡眠を組み合わせることで、従業員は仕事での成果を最大化でき、同時に健康を維持することにつながります。

残業と睡眠のバランスを

残業を企業からなくすということは現状は難しい課題です。なくせば業務が滞り企業の生産性が落ちたり、見えないところで業務を行い、健康を害する人も出てしまいます。反対に、今のままだとますます生産性も落ち、健康被害にも影響が出ます。重要なのはバランスを保つことです。残業と睡眠のバランスを保つことは、私たちの生活と仕事において重要な要素です。適切な残業と質の高い睡眠を組み合わせることで、ストレスの軽減、生産性の向上、健康の維持を実現することにつながります。

仕事においては、効率的なタスク管理や優先順位の設定、チームとの協力など働き方の見直しやワークライフバランスの改善が求められます。睡眠に関しては、労働環境の改善や柔軟な働き方の導入だけでなく、昼寝制度、睡眠チェックやストレスチェック、睡眠セミナーや睡眠に関する相談窓口などを取り入れてみるのも良い一つの施策といえます。また、睡眠だけにとどまらず、従業員の健康と幸福感を重視した包括的な施策を推進する必要があります。

充実した生活を送るためには、残業と睡眠のバランスを保ちながら、仕事の成果を最大化し、日々の努力と意識が必要です。企業も従業員も健康と幸福を意識しながら、”働き方改革”と”睡眠革命”を実現できることが今後の重要な目標といえます。

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